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( 本格推理から学園ミステリー、パロディー小説や絵本など、さまざまな作風で読者を魅了しつづける著者が、本書でテーマに据えたのは、犯罪加害者の家族。犯罪が、被害者や加害者だけではなく、その家族にまで及ぼす悲しい現実を見据えた意欲作である。殺人犯の弟という運命を背負った高校生が成人し、やがて自分の家族を持つにいたるまでの軌跡を、大げさなトリックやサスペンスの要素を用いることなく、真正面から描ききっている。 <p> 武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。 <p> 1999年に刊行された『白夜行』以降、著者は『片想い』 『トキオ』など、連載小説という発表形態を通じて、読み手を飽きさせないだけのストーリーテリングの実力を確実に身につけてきた。新聞連載された本書も、バンドデビューや窃盗事件などの出来事を積み重ね、そのつど揺れ動いていく直貴の心の危うさを巧みに演出しながら、物語を引っ張っていく。しかしながら読み手は、たえず居心地の悪さを感じずにはいられないだろう。なぜなら、直貴に向けられる差別は、私たち自身の中にも確実に存在するものだからである。「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない」と言い切る直貴の言葉が、ずっしりと心に響く。(中島正敏))
手紙 (文春文庫) [文庫] / 東野 圭吾 (著); 文藝春秋 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41%2BF0UHNpHL._SL160_.jpg)
手紙 (文春文庫) [文庫] / 東野 圭吾 (著); 文藝春秋 (刊)
あらすじ
武島剛志は、弟の直貴を大学に入れてやりたいという一心から盗みに入った屋敷で、老婆に見つかり衝動的に殺してしまう。
懲役15年。残された唯一の家族直貴のもとに月1度、獄中の兄からの手紙が届く。
進学、恋人、就職と、あらゆる場面で「強盗殺人犯の弟」ということが障害となる現実社会に、直貴は
だんだん兄からの手紙を無視するようになり…
はじめの一行
その家を狙ったことに深い根拠はなかった。
感想
読ませる。暗い話だけど先が気になり一気。
犯罪者の家族と社会の差別というテーマからぶれずに進む。殺人犯の弟という重しを背負った直貴の苦悩と成長の話。直貴は闘わない。その前に、生きていかなければならないから。
リアルさより、テーマの伝わりやすさ優先で、適度に都合のよいエピソードが続く。
泣かせあり、考えさせられるとこありの、演劇をみているような感じ。
上があるから下がある、「尊敬あるところ差別あり」てのが持論。
まず、尊敬をやめようっと。 ←あれれ?
ラベル:東野圭吾